シェイプ・オブ・ウォーター 監督:ギレルモ・デル・トロ

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☆☆☆☆☆☆☆☆★★(8点)
ギレルモ・デル・トロといえば「パンズ・ラビリンス」が思い浮かぶ。ジャン=ピエール・ジュネに似たタッチで描く映画監督という印象だった。それは今作をみてもあまり変わらない。半魚人はジュネも監督したエイリアンのように、目をひく異様さをもっている。これがとても精巧で気味が悪くも美しい。舞台は冷戦時代のアメリカの機密機関で、主人公のイライザ(サリー・ホーキンス)はそこで働いている清掃員。そこへ半魚人が運ばれてきて、警備責任者のストリックランド(マイケル・シャノン)というかなりやばそうな男もやってくる。解剖して宇宙開発競争で優位に立ちたいという思惑がアメリカのお偉方にはある。イライザはこっそり半魚人に会いに行くようになり、だんだん親密になっていく。機密機関で働いている博士の中にはロシアのスパイもいる。ロシア側はそのまえに半魚人を殺してしまいたいと考えている。解剖の話を聞きつけたイライザは半魚人を逃がす決意をする。という展開なのだが、ぜんぜん先を読めないのがよかった。思いきり想像の羽をひろげて作品を作ってる感じがするのが、どこかラテンアメリカ文学の香りがした。すれ違いざまにちょっと腕が触れただけで相手の腕をひどく傷つけてしまう半魚人。たしかに魚も気をつけて扱わないと手を切ってしまうことがある。半魚人と人間はやはり住む場所がちがうのだと思った。とはいえ、それを乗り越える力(もはや神のような)を半魚人はもっていたのだが。

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