素敵なウソの恋まじない 監督:ディアブラ・ウォルシュ

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☆☆☆☆☆☆☆★★★(7点)
原作がロアルド・ダールで脚本がリチャード・カーティス、主演がダスティン・ホフマンとジュディ・デンチ、脇役にジェームズ・コーデンという豪華さだけど、イギリスのテレビ映画なので日本ではほとんど知られてない。プリングルという風変わりなおじいさんの役がリチャード・コーデリーという役者で、一度みたら忘れらない顔なので覚えてたのだが、何の映画でみたのか最後まで思いだせなかった(あとで調べたら「アバウト・タイム」のこれまたかなり変わってる叔父さん役をしてた人だった)。アメリカ人の老紳士ホッピー(ダスティン・ホフマン)がマンションの下の階に住む老婦人シルバー(ジュディ・デンチ)に一目惚れするという、おじいちゃんとおばあちゃんのラブストーリー。何しろロアルド・ダールなので、話は突拍子もない展開になっていく。シャイなホッピーはシルバーをお茶に誘うこともできず悶々としており、シルバーが溺愛しているペットのカメに嫉妬するありさま。このアルフィーというカメが全然大きくならないことに悩むシルバーをみたホッピーは、大きくなる嘘の呪文を教え、買ってきたカメとアルフィーをこっそり入れ替える。最終的には100匹ものカメを買い、入れ替えをくりかえしてちょっとずつアルフィーが成長しているように見せかける。ここまでホッピーがやるのも、もし呪文が効いたらあなたを愛しますといったようなことをシルバーに言われたからだ。こんなにピュアな老人というのを現代人がどれくらい信じられるだろうか。もはやおとぎ話と言ってもいい。とはいえ、ここまでやらないと見えてこないこともあるだろう。ホッピーのついた嘘はいつばれてもおかしくない嘘だった。だからあとは、この多大な手間が愛情の物差しとして使えるかどうか。シルバーはカメの突然の成長も信じたし、おとぎ話も信じることができた人だった。人生のたそがれ時を少しでも明るく過ごしていくのに、とても大事な素質のような気がする。

 


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