☆☆☆☆☆☆☆☆☆★(9点)
演劇の舞台裏とか映画制作の現場とかが舞台の映画はあまり好きじゃない。感覚的なことだけど、設定が狭苦しいし、業界に詳しいだろうからそれだけに私小説的なものがにじみ出てしまうような気がする。でも観てしまえばたいていはおもしろいので、何度か迷った挙句、けっきょくは観ることになるけど。ジャック・リヴェットは「セリーヌとジュリーは舟でゆく」と「北の橋」が好きで、「恋ごころ」は監督がリヴェットということで観てみた。ヒロインのカミーユは劇団員で、舞台のリハーサルから映画が始まり、フランスらしい男女の恋愛が繰り広げられる。「セリーヌとジュリー…」と「北の橋」にくらべると大人の映画という感じがするが、登場人物はみんな子供っぽい。日本の大人は子供っぽいところを隠しがちだが、フランス人はそうしてないという感じだ。僕がフランスに惹きつけられるのはたとえばそういうところだ。それはそれできっと大変なことが多々あるんだろうけど、溜めこんだストレスの量は間違いなく少ないんじゃないかと思う。フランスに行ったことがないので誤解かもしれない。だけど少なくともフランス映画には自由でのびやかな風が吹いている。
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