ブラック・クランズマン 監督:スパイク・リー

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☆☆☆☆☆☆☆☆★★(8点)
第71回カンヌ国際映画祭(2018)で「万引き家族」とパルムドールを競った作品(結果は「万引き家族」がパルムドールで、「ブラック・クランズマン 」は次点の審査員特別グランプリ)。話題作だし、好きな俳優アダム・ドライバーも出てるし、というわけで、スパイク・リー作品を進んでみてみようと思ったのは今回が初めてかもしれない。事前に知っていた情報としては、黒人捜査官があの悪名高い白人至上主義団体のKKKに潜入捜査するというもので、いきなり「?」だ。黒人がKKKに潜入(つまり入会)というユニークなひねりがおもしろい。舞台は1970年代のアメリカで、登場人物たちの髪型が時代を感じさせる。黒人警察官のロン(ジョン・デヴィッド・ワシントン)はKKKの募集を新聞にみつけて電話し、同僚の白人警察官フィリップ(アダム・ドライバー)が代わりに面会に赴く。電話担当がロンで、実働担当がフィリップなのだが、口達者で頭の回転が速いロンと、肝が据わって機転がきくフィリップはいいコンビだ。けっきょくロンは本名のロン・ストールワースで入会が認められ、会員証を手に入れる。要するに、ほんとうに黒人がKKKに入会したのだ。すぐにKKKで信頼を得ていき、支部長に推されるまでになる。ロンは黒人特有の訛りを完全に消し、白人になりきって喋ることができ、KKKの最高幹部デュークでさえ電話越しの相手が黒人とはまったく見抜けない。訛りでバレるんじゃないかとひやひやしてみていたが杞憂だった。そしてロンとフィリップの仕事上の冷静さがすばらしく、頭脳と度胸でKKKに乗りこんでいったふたりがかっこいい。映画の中でも軽く触れられるけど、KKKは過激な言動を控え、より巧妙に政治中枢に潜りこんでいったようだ。トランプの思想はだいぶKKK寄りだし、アメリカ・ファーストという決め台詞はとっくの昔にKKK最高幹部のデュークが演説で語っていた言葉だ。ラストは現実なだけにかなりおそろしい。1970年代という時代設定が、いきなり現代にとぶ。冗談かと思うほど、なにも変わってないのだ。


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