食べて、祈って、恋をして 監督:ライアン・マーフィー

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☆☆☆☆☆☆☆★★★(7点)
スピリチュアルな自分探しの映画で、好き嫌いがはっきり分かれそうな映画だ。主役のリズ(ジュリア・ロバーツ)を導くバリ島の占い師らしき老人だが、チャーミングでインチキくさく描かれており、まじめとおふざけのバランスがよかった。精神の調和にこだわるスピリチュアル一辺倒の人間を笑う、というかそういうのを客観的に批判的にみる目がこの映画にはある。これがなければ、たとえばウディー・アレンの映画で散々小馬鹿にされるような種類の人たちの話にすぎないことになってしまう。リズの置かれた状況というのは特殊なものではなくて、ありふれたものだ。それを受けとめるリズが少々特殊なのだろう。リズは深く悩み、我慢せず、行動を起こす。夫と別れ、恋人と出会い、恋人と別れ、イタリア、インド、バリへと旅にでる。仕事は作家だから住む場所を選ばない。ごくたまにこういう人を見かけるけど、リズの行動力はずば抜けている。ダメなものには全力でぶつかり、悩み苦しみ、環境を変えてみごとに順応していく。でも彼女が追い求めるものは住む場所ではなくて、精神の調和なのだから、当然行き詰まる。でも場所を変える意味がないわけではないので、ちょっとずつステップアップしていける。ただきっと瞑想などにはまる人たちの定番の落とし穴なのだろう。リズは調和を求めるあまり、やっと出会えた運命的な人と別れようとする。乱されたくないからだ。バリ島の老人はそんなリズに、愛のために調和を失うことは調和のある生き方のひとつなのだと諭す。きっと「調和」という言葉がいけないのだろう。その潔癖な感じのする言葉を口にしていると、そういうものがほんとうにあるのだと勘違いしてしまいそうだ。


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