☆☆☆☆☆☆☆☆★★(8点)
いわゆるディザスタームービー(パニック映画、災害映画)で、こういう映画はわりと欠かさずみている。地震や津波など身近な災害ほど熱中してみてしまうし、よくできた映画であれば実際に役立つ情報を得ることもできる。この映画はマイナス30度の過酷な環境で撮影されただけあって、徹底的にリアルに作られており、登山をまったくしない人にもエベレストの恐ろしさは十分伝わるのではないかと思う。僕も興味はあるけど登山はほとんどやったことがないが、エベレスト級の山はまぎれもなくこんな感じだろうと想像がつく。エベレストは8,000メートル以上の標高があり、8,000メートル以上はデスゾーンとよばれ、人間はそこを超えると、確実に体は死んでいくという。そこまでして登りたい気持ちはなかなか理解できるものではないが、当時の1996年あたりからエベレスト登山は商業的になり、富裕層を中心にそれほど経験のない人たちが大金を払ってツアーに申し込んだというから、つくづくいろんな人間がいるものだと感心する。もし自分が大金持ちだったら、こういう世界最高峰の山を制覇だとか、宇宙旅行だとかに手を出すかどうか。物理的に可能となれば、人間なにを考えだすかわからないものだ。登山隊を率いたのは何度もエベレスト登頂を経験している山のスペシャリスト達だが、雪山の中では人間はあまりにちっぽけだ。万全な状態でも危険には変わりないのに、このときは複数の登山隊による渋滞や酸素ボンベの不備、登山隊内外の連携不足など人災が目立ち、さらに予報では来るはずのなかった嵐の直撃という不運まで重なった。山で死ぬのは本望なのかどうか。あまりに過酷なのでいざとなればそんな想いは吹っ飛ぶと思うが、冒険家なら毎回覚悟はしていただろう。それでもやはり、死に場所としては地獄すぎる。せめてあのときこうしていれば結果は違っていたかも、と思わずにはいられない。
エベレスト3D 監督:バルタザール・コルマウクル
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