ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります 監督:リチャード・ロンクレイン

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☆☆☆☆☆☆☆★★★(7点)
高齢の夫妻が40年住んだ5階の部屋を、エレベーターがないからという理由で売りに出す話。ふたりが住んでいるのはブルックリンで、昔はど田舎だったのが最近は見直されて地価が上がっている地域だ。不動産屋によると評価額は100万ドル(日本円でおよそ1億円)というから、売りたい気持ちになるのもよくわかる。ただもちろん、住まいというのはお金だけのことじゃなく、思い出も関わってくる。夫妻にとって結婚してすぐに住み始めた家だから、思い入れも強い。それに邦題にあるように、眺めもいい。自然の眺めもいいけど、この部屋のように美しい街なみが見渡せるのもすてきだ。画家の夫(モーガン・フリーマン)にとってはそんなすばらしい部屋がアトリエでもあり、そこで絵を描くのは他には代えがたいのではないかと思う。アメリカは日本とちがい、中古住宅が主流なので、古くても丁寧にメンテナンスしながら住み続ける文化がある。街なみが美しいのも当然だろう。映画では夫妻が内覧会をひらいたり、住み替える物件を探したりするさまがコミカルに描かれる。みているほうからすると、どうしてこんなにいい部屋を売るのだろうという気持ちになるし、そのような感想を抱くように導かれてもいる。1億円というのは、こういう映画でみると、たいした価値ではないのだという気にもなる。とはいえ、じっさいに自分が夫妻の立場になったらずいぶん振りまわされそうな金額ではあるけど。


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