おとなの恋の測り方 監督:ローラン・ティラール

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☆☆☆☆☆☆☆★★★(7点)
美人の弁護士と、身長136センチの建築家の男の恋愛映画。前知識をほとんど入れないで観たので、身長136センチのアレクサンドル役が「アーティスト」のジャン・デュジャルダンだと後で知った。「アーティスト」はみていたが、ジャン・デュジャルダンの顔はよく覚えておらず、ほんとに低身長の役者が演じてるのかと思った。上半身だけ映るたび低身長にはとてもみえないと思ってはいたけど、実際には182センチあるジャン・デュジャルダンが膝をついて演技してたそうだから当然だ(CGも使っている)。カップルの身長差の問題は世界共通みたいで、付き合う男はじぶんより背が高いほうがいいと考える女性が多い。よくよく考えれば、これはいつからだろう、なんでだろうと疑問に思うが、こういう映画でもみなければわざわざ考えもしなかったかもしれない。先入観というのは根深い。恋人役のディアーヌがどうしても世間体を気にしてしまい、両親や友人にアレクサンドルを紹介できない気持ちはよくわかる。アレクサンドルのコンプレックスもよくわかる(アレクサンドルはたいてい気丈にふるまい、ユーモアを忘れないけど)。身長の問題は相対的なもので、周囲に左右される部分が大きいと思う。このまま日本人の平均身長がどんどん高くなっていけば、コンプレックスを感じる人も増えるかもしれない(とくに前の世代で)。そうでなくても、ちがう国に住めば変わるし、単に職場がちがうだけでも変わるだろうし、けっきょく気にしだすと終わりがみえないトンネルだ。映画ではアレクサンドルを(あるいはディアーヌとセットで)差別的な目でみたり笑ったりする、先入観にがんじがらめの人たちが多く出てくる。がんじがらめである人たちの滑稽さがよく表れていると思ったが、これは映画的演出で少々露骨にしてるのだろう。だれもが笑っている側になり得る危険性があるけど、可能なかぎりなりたくないものだと思った。


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