☆☆☆☆☆☆☆★★★(7点)
めずらしくウディ・アレンが自作以外の作品で出演したという注目の映画。ジョン・タトゥーロの書いた原案を気に入ったウディ・アレンが、脚本のアドバイザーにもなって制作したらしい。話の展開や会話やユーモアがウディ・アレン節なので、脚本も関わってるんじゃないかと映画をみながら思っていたが、やはりそのとおりだった。なにしろユダヤ教の風刺が多い。ただ、ウディ・アレンの映画はもっと苦みが効いてるし、セリフも情報過多で、観客の頭にそれなりに負荷を与えてくるのに対し、こちらの映画はとてもシンプルだった。貧しい生活でお金に困っている男フィオラヴァンテ(ジョン・タトゥーロ)がマレー(ウディ・アレン)にそそのかされて男娼(ジゴロ)になり、思いがけず繁盛して本業のようになっていったところ、顧客のうちの一人、アヴィガル(ヴァネッサ・パラディ)という敬虔なユダヤ教徒の未亡人と何度か会ううちに恋に落ちてしまうという話。まず、ジョン・タトゥーロがジゴロ役というのがおもしろいが(すごく味のある俳優だけどジゴロっぽくない)、シンプルな黒いシャツを着て寡黙な男でいると、かなりかっこいい人なのだと思った。エキセントリックな役が多いジョン・タトゥーロのような人は、こういうある意味まっとうな男を演じると、ほんとにかっこよくなる。それにしてもウディ・アレンはいつものウディ・アレンで、最近は監督するばかりで役者として出なくなってきているから、演じるウディ・アレンを見られるだけでも価値のある映画だと思う。
Bitly