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グリーンブック 監督:ピーター・ファレリー

☆☆☆☆☆☆☆☆★★(8点)
ピーター・ファレリーといえば、ファレリー兄弟として「メリーに首ったけ」とかアクの強いコメディーをいくつも撮ってきた人で(アメリカのコメディーがこんなに笑えるとは「メリーに首ったけ」をみるまでは思いもしなかった)、今作ではピーターが単独で監督をしている。アカデミー作品賞をとったというから、いつものファレリー映画ではないだろうと予想していたが、コメディーの配分が少なめで人と人との交流に作為的な感じがしない。コーエン兄弟もコメディー色のある映画を得意としながらシリアスで重厚なものを作るようになっていったけど、ファレリーもやっぱり作れるんだなと思った。グリーンブックとは黒人が利用可能なホテルやレストランなどの施設を記したガイドブックで、これが必要なわけはアメリカ南部では1960年代はまだまだ人種差別があからさまだったからだ。黒人お断りのレストランは多く、普通のバーに入ると下手すれば白人からリンチに遭う。有名なピアニストであるドクター・シャリー(マハーシャラ・アリ)は自らそんな危険な南部へツアーに出るのだが、運転手兼用心棒として雇われたのがトニー(ヴィゴ・モーテンセン)だった。自分もイタリア系として差別を受ける立場でありながら、黒人に対して偏見のある男。一方でドクター・シャリーは黒人でありながら幼少時から白人のコミュニティーで育ち、かといって白人のようには生きさせてもらえない、どちらの側からも異分子として扱われる孤独な男。そんな二人がいびつな国アメリカ南部で、たくさんの衝突と事件を起こしながら心を通わせていくという話だ。こういう水と油のように混じり合わない全然性質のちがう二人が友情を育んでいくのは、正直言って決裂しないのは目にみえているけど、わかっていても感動する。マハーシャラ・アリの演技がよくて、人付き合いに不器用な感じがよく出ていたのがよかったのだと思う。