マギーズ・プラン 幸せのあとしまつ 監督:レベッカ・ミラー

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☆☆☆☆☆☆☆☆★★(8点)
マギーのプランとは、寝とった男に幻滅したので元妻に返すというもの。そのなんだか潔いようなそうでもないような変なプランは、それだけみると勧善懲悪ものなみに男が糾弾され翻弄される映画かと思うが、半分そのとおりで半分そうじゃなかった。そもそもこのプランは元妻がいちばん怒っていいようなプランだ。でも元妻のジョーゼット(ジュリアン・ムーア)は最初ちょっと怒るだけで、マギーの話に乗ってくる。マギーが寝とる男ジョン・ハーディング(イーサン・ホーク)は優れた学者だけど、実生活ではかなりのダメ男だ。学者としての頭脳はすばらしいが、実生活となると少年のように浅はかで自分本位、顔がいいだけに女性の憧れとも敵ともなる存在なのだろう。まさにマギーのプランを実行するのにふさわしい相手といえる。だがマギーが正しいかというとそうでもなく、ふつう思ってはみても実行に移そうとはしないこのプランを現実に進めていくところがすごい反面あきれるし、ちょっと怖い。映画の中ではマギーは愛らしいキャラクターなので、そんなに怖いとはならないけど。このマギーの愛らしさはやっぱりグレタ・ガーウィグが演じてるのが大きい。ニューヨークが舞台だし、「フランシス・ハ」の彼女を彷彿させもする。それにジョン・ハーディングとの間にできた子リリーの存在が、リリーを大切に育てているマギーにいい印象を与えている。リリーの愛らしさがマギーの愛らしさを補強してくれている。そして寝とられる元妻ジョーゼットもジョン・ハーディングに輪をかけて実生活がおぼつかなく、頭脳は優秀なだけにそのアンパランスが魅力的だ。話すことはとても知的で鋭くて本音をさらりと言う。だけどどこかずれてて変だから、彼女も愛らしくみえてくる。この映画は間違いなく大人の話で、大人がみるような映画だ。大人だけどみんな未熟だから、みていてほのぼのとする。大人の世界はだいたいそういうもの、ということだろう。

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