☆☆☆☆☆☆☆☆★★(8点)
1950年代という時代設定が不思議な魅力を放っていた。当時のファッションに身を包んだケイト・ブランシェットとルーニー・マーラがとても絵になり、これだけでもこの映画を観る価値はあると思う。彼女たちがただ動くのを漫然とみてるだけで楽しめるんじゃないかと。クラシックな車やカメラも印象深いし、映画を流れる時間が、変な表現だがしっとりしているようでもあった。この映画の場合、ストーリーがシンプルなことがよかった。女性同士の愛におさまらない、普遍的なものがあったと思う。キャロル(ケイト・ブランシェット)は最初、底の知れない何だってパーフェクトにこなしてしまう女性かと思い、近寄りがたいオーラを感じたが、けっこうハードな人生を歩んでいるのがわかるにつれ、彼女の人となりに魅せられるようになっていった。ルーニー・マーラは前から好きな女優で、一癖ある役ばかりが目立つが今回はふつうの女性を演じている。個人的な意見だけど、日本人でいうと、顔や雰囲気や女優としての立ち位置がなんとなく満島ひかりに似ている。テレーズはまっすぐで、けなげで、キャロルに尽くす。男女のことには淡白。ルーニー・マーラが演じると、その姿がとても美しい。