☆☆☆☆☆☆☆☆☆★(9点)
女優のシャロン・テートがマンソン・ファミリーに殺害された1969年の事件を題材にした映画。僕がこの事件を知ったのはそれほど昔のことじゃなかったと思うが(ポランスキーについてウィキペディアで軽く調べているとき知ったのだと思う)、ポランスキーの妻で女優で、しかも妊娠していた女性がカルト集団に惨殺されたという事実に驚き、事件について書かれたネット記事をいろいろと読んだのを覚えている。映画はたしかにその事件が重要な土台となってはいるが、もうひとつ、当時のハリウッドの様子もたっぷり描かれている。タランティーノなら当然だが、再現するのにCGを使ってないので、なかなかのお金と労力がかかったのではないかと思う。出てくる車はどれもこれもクラシックで、タランティーノのインタビューによると、撮影に2000台ほど用意し、タランティーノが幼いころに見たままの光景を再現したらしい。街並みもじっさいに残っている建物に手をくわえたもので、本物によって再現されたハリウッドの街はそれだけで見ごたえがある。「ジャンゴ」と「ヘイトフル・エイト」で西部劇を撮ったタランティーノだが、よほど西部劇が好きなのだろう、今作では主人公リック・ダルトン(レオナルド・ディカプリオ)が西部劇で活躍した俳優なので、西部劇にまつわる話だらけだ。マンソン・ファミリーが西部劇映画撮影用のスパーン牧場で暮らしていたというのも、この映画にはもってこいの事実だったといえるかもしれない。そしてディカプリオとブラッド・ピットの初共演作としても評判となった映画だが、ふたりともさすがの貫禄だった。主演はディカプリオとなってはいるが、ブラッド・ピットもほぼ主役と言っていい活躍で、どちらに偏るでもなく、バランスがとれていたと思う。リックとクリフ(ブラッド・ピット)のふたりの友情は破綻しそうでしない。クリフの献身と、リックの俳優をやるために生まれてきたような一途さはみていて感動的だった。
ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド 監督:クエンティン・タランティーノ
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