アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場 監督:ギャヴィン・フッド

☆☆☆☆☆☆☆☆★★(8点)
軍事用ドローンの操縦士はすぐに辞めてしまい常に人手不足と聞いたことがある。実際に戦闘機に乗って戦地に行くわけではなく、安全なところから偵察や爆撃を行うのだが、身の安全の安心感よりも、遠くからミサイルを放つ精神的プレッシャーのほうが上回るようだ。この映画は現代の戦争のある種の形をリアルに描いており、遠方から敵をせん滅する作戦というものを、人間たちがどのように進めているかがよくわかる。テロリストが潜伏している民家を爆撃すると、周辺の被害はどれくらいかを数字で出し、法的に問題がないかを検討する。さらに攻撃対象はイギリス人だが、中にはアメリカ人テロリストもいるし、場所はイギリスの友好国ケニアだ。作戦を指揮しているのはイギリス軍だが、ドローンを動かしているのは米軍基地という状況で、イギリスとアメリカの首脳の判断を仰いだりして、結論はなかなか出ない。なにしろ民家のまわりには普通に生活している民間人がたくさんいて、当然こどももいる。だからそんなところに爆撃などもってのほかだが、小型カメラ(虫型)で潜入して中を調べると、大量の武器や爆弾がみつかり、まさに狂信者がそれらを装備しているところだった。それらによる被害を試算すると、80人規模の犠牲者が出る。この隠れ家を爆撃してしまえば、犠牲は少数で済むという話だ。ちょうど隠れ家の真ん前で、少女がパンの屋台をしており、ミサイルをどこに撃ちこんだとしても少女の命は助かりそうにない。それでも撃つのか? この作戦には多くの人が関わっており、少女の被害が最小に済む可能性を探るが、上層部の許可をとりつけるために、半ば強引に安全ラインをでっちあげていた。大の大人たちがああでもないこうでもないと手を尽くし、結局はかならず少女を巻きこんでしまう状況でミサイルを放つ決断をする。AIなら数秒もためらわなかっただろう。犠牲者の数をくらべれば一目瞭然だからだ。でもそうじゃないのが人間のはずだ。作戦にたずさわった人たちはベストを尽くしたのかもしれないが、とても重大な過ちをしでかしたようにもみえる。現代の戦争はべつの次元で倫理的な難しさを抱えるようになってきているみたいだ。


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