ウインド・リバー 監督:テイラー・シェリダン

☆☆☆☆☆☆☆☆☆★(9点)

渋いジェレミー・レナーが帰ってきたという感じで、キャスリン・ビグローの「ハート・ロッカー」以来のはまり役だと思う。アメリカ中西部・ワイオミング州のネイティブアメリカンの保留地ウインド・リバーが舞台。雪の世界で夜はマイナス30度にもなり、そんな夜の雪原を少女が走り、肺が凍って破裂して死亡した。第一発見者がジェレミー・レナー演じるコリーだった。検死でわかったのは性的暴行を受けていたことで、雪原を走ったのは逃げていたからだとわかる。コリーは野生生物局のハンターで、コリー自身、娘を謎の失踪で失っている。この地では失踪者や殺人事件が多いうえに統計すら存在せず、その数が不明らしい。地元の警察官は6人しかいない。だからコリーという存在が生きてくる。このハンターは西部劇に出てくるガンマンと言っていいが、ネイティブアメリカンと戦う昔の映画のガンマンではなく、ネイティブアメリカンの側で戦うガンマン。コリーは冷静で動じず、獲物(犯人)を仕留めるのをためらわないし、世界が残酷なものだとよく知っている。いつも仕事で野生と向きあい、悲惨な環境に置かれたネイティブアメリカンたちを敬い、娘の死がきっかけで壊れてしまった自身の家庭を支え続ける。コリーが傷ついた人たちを癒せるのは、だから当然かもしれない。

 


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