スポットライト 世紀のスクープ 監督:トム・マッカーシー

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☆☆☆☆☆☆☆☆☆★(9点)
新聞記者が真相を追うという筋書きはけっこう好きだ。仕事量が半端じゃないし、みていて触発されるところもある。みんな頭の回転が速くて、そのおかげか映画もテンポよく進む。デヴィッド・フィンチャーの「ゾディアック」に近いものを感じた。「ゾディアック」が取り扱うのは連続殺人事件で、「スポットライト」は神父による児童への性的虐待事件だ。最初はひどい話だけどあり得る話だくらいにみていたのが、虐待の容疑をかけられそうな神父が13人いるとわかり、それが90人弱に増え、枢機卿の隠ぺい容疑が見え隠れし、さらにバチカンまでも疑わしくなり、舞台であるボストンでは警察や裁判所が神父の犯罪を黙認していたこともわかってきて、登場人物のマイク(マーク・ラファロ)とサーシャ(レイチェル・マクアダムス)が「胸くそ悪い」と言いあうのだけど、まったく同じ気持ちになっていった。記者たちは当然スクープが狙いでもあるのだが、地元ボストンで育ってきた彼らにしても(ボストンは熱心なカトリック信者が多い)、このネタはきつかったようだ。なにしろ教会の力というのは町の隅々にまで渡っており、たとえば記者のロビー(マイケル・キートン)が学生時代に通っていた高校は部活動の顧問が神父で、その神父に性的虐待を受けた生徒もいた。ロビーも当時は部活をしていたから、自分が被害を受けなかったのはその神父が顧問をしている部活ではなかったという、ほんの小さな幸運のおかげでしかなかった。ボストン・グローブがこれら性的虐待事件の全貌を暴いたのは、ほんの18年ほど前のアメリカのことだというのが信じられない。まるで大昔のどこかの村で起こったかのような話だけど、意外と宗教心の強い国であるアメリカならではなのかもしれない。

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