☆☆☆☆☆☆☆☆★★(8点)
2011年の映画で、4度目の鑑賞。新型コロナの騒ぎでやはり注目され、レンタル屋に行ってもきっとないだろうなと思ったら残ってた。今はストリーミングでみる人が多いのだろう。僕はレンタル屋の棚をみてまわって決めるのが好きだ。出会いも広がるし。監督のソダーバーグだが、あまり個性を感じさせない。大量の映画を撮っているが、まだ57歳と若くて、ソダーバーグと意識せずにみた映画もたくさんある。そういえばソダーバーグだったと思うことが多いのだけど、映画の出来は安定していてハズレが少ない。個人的には「セックスと嘘とビデオテープ」と「チェ」2部作、「サイド・エフェクト」、それからこの「コンティジョン」が上位だ。コンテイジョンはパンデミックを劇的にみせながらも地味にリアルに描いていて、だから今の新型コロナの状況下で見直されている。ホラーなみに怖いシーンもあるのだが、リアリズムに基づいたものだから不要なシーンとも思わない。主要な登場人物は7人で、最初の感染者ベス(グウィネス・パルトロー)、その夫ミッチ(マット・デイモン)、CDC(疾病予防管理センター)のエリス・チーヴァー博士(ローレンス・フィッシュバーン)と調査員のミアーズ(ケイト・ウィンスレット)と研究者のアリー(ジェニファー・イーリー)、WHO(世界保健機関)の疫学者レオノーラ(マリオン・コティヤール)、陰謀論者のブロガー・アラン(ジュード・ロウ)を中心に話が展開していく。まだ感染が広がってない段階でもいちはやく異常に気づく人たちはいて、まわりに危機感が伝わるにはもどかしいほど時間がかかってしまう。なんの変哲もない日常が戦時中のように激変してしまうとは、ほとんどの人が予想できるわけがなく、いつまでもずるずると日常を続けてしまい、政府も経済優先で考えてしまう。最前線で戦っている人たちだけがウイルスのインパクトを知り、孤軍奮闘している感じだ。目にみえない敵というのはやはり恐ろしいもので、ウイルスもそうだが、恐怖などの感情もそうだ。目にみえないから、その行為が過剰なのか妥当なのかわからないし、解釈する人間次第となる。ウイルスの封じ込めには合理的でシビアな決断が必要なこともあるとは思うが、この映画の中で英雄的な行動をとった人物たちのようにとまではいかなくても、少しでも他人に尽くすことができたら人間も捨てたものではないなと思う。