ちいさな英雄-カニとタマゴと透明人間- 監督:米林宏昌、百瀬義行、山下明彦

☆☆☆☆☆☆☆★★★(7点)
スタジオポノックの3人の監督による『カニーニとカニーノ』『サムライエッグ』『透明人間』の3つの短編からなる。それぞれのよさがあって、ばらばらの世界観が楽しめる。いちばん異質でポノックというかジブリっぽくないのが『透明人間』だった。「笑うセールスマン」みたいなダークな雰囲気で、ユーモアもある。タイトルから想像したような内容とはまったく違っており、いい意味で裏切られた。透明人間は存在感がない人の暗喩のようだ。さすがに3作とも元ジブリの精鋭アニメーターが関わったとあって、アニメーションの技術が高い。やや内容に物足りない気はしたが、映像ショーのような感じで楽しく鑑賞してられる。3作のなかで一番印象深かったのは『サムライエッグ』で、映像表現だけでなく、ストーリーにも心動かされた。重度の卵アレルギーを患った少年と両親(おもに母親)の話なのだが、実際にあった話を元にしているのではないかと思うほど真に迫るものがあった。関西弁がまたリアリズムに一役買っていて、とても身近な話に感じられる。『カニーニとカニーノ』はまた小人の話かなと思ったら、ザリガニを擬人化したものらしい。米林監督の作品はさすがに映像がハイレベルで、水の表現の美しさと、サギのクチバシが水中にさしこまれて魚を獲る瞬間は突出していたと思う。しかしポノックの人たちにとって宿命というか、標榜している面も多々あるかと思うが、どうしても宮崎駿や高畑勲と比較されてしまう。だから力不足にばかり目がいってしまいがちだが、それも期待の裏返しとして前向きに受けとめてもらい、まだまだ生き延びてほしい。


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