インクレディブル・ファミリー 監督:ブラッド・バード

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☆☆☆☆☆☆☆★★★(7点)
ピクサーらしい細部までユーモアとアイディアのつまった映像の連続だった。ストーリーは驚くほど平凡で、アクションとストーリーにかける力の比率は9:1くらいかもしれない。短編とは違うのでそこが難点といえば難点だが、簡単に先読みできる展開でも映像が楽しいので退屈しない。今回、主人公のMr.インクレディブルが主夫になる。スーパーパワーをもつ赤ん坊のジャック=ジャックが分身を作ったり鬼に変身したり火だるまになったり目からビームを出したり異次元に消えたりし、育児に翻弄され疲労困憊になっていくMr.インクレディブルの姿は、育児の大変さをメタファーで表現しているようにもみえておもしろい。前作とちがって妻のイラスティガールがメインとなっているのがよかった。Mr.インクレディブルは基本的にマッチョな能力しかないみたいで(とはいっても相当な怪力の持ち主だけど)、正直なところ個人的には魅力を感じない。今作のようにマッチョな体で家事や育児に奔走しているという役柄のほうが映画的におもしろい気がする。イラスティガールの能力は全身がゴムのように伸縮自在なところで、手足を伸ばして攻撃したり、平たくなってトンネルと電車のすき間におさまったり、パラシュートになったり、パラグライダーになったり、そのほか細かな動きまで含めると無数のバリエーションがある。力でねじふせるという戦い方をしないので、そのぶん動きに切れがある。イラスティガールの性格にもうちょっとおもしろみがあれば、もっとかっこいいヒロインアニメになったと思う。

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