☆☆☆☆☆☆☆☆☆★(9点)
洗練されたゲームを眺めているような距離感と美しさだった。このスタイルが生命とか愛とか人生とか大きなものを感じさせた。話自体はむしろ地味かもしれないが、海や津波、蟹や亀や海鳥や人など、繊細な表現がひとつひとつ丁寧に描かれていた。ストーリーはとてもシンプルでセリフもないから画や音に集中できる。主人公が海の中で亀と出会うシーン、あるいは息子が亀と泳ぐ海中のシーンは何か壮大さを感じさせるものがあった。この映画を作るのに構想10年プラス制作8年の計18年かかっていることからみても、相当こだわりの強い監督なのだろう。高畑勲も作品に関わっており、ふたりは似たタイプなのかもしれない。