移動都市/モータル・エンジン 監督:クリスチャン・リヴァース

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☆☆☆☆☆☆☆★★★(7点)
世界トップクラスのVFXの技術が楽しめる映画で、移動する都市が別の移動都市を捕食するという発想もおもしろい。都市は生き物だと比喩で言うことがあると思うが、この映画では直截的に生き物化している。車輪をつけて動きまわる都市が、エネルギー補給のために自分より弱い移動都市を捕食するさまが描かれる。千年前に起きた60分戦争(量子エネルギー兵器の使用で60分で終結)のせいで世界中の居住環境が破壊され、定住することが難しくなったためらしい。定住を選んだ人たちも多くいて(反移動都市同盟)、移動都市vs反移動都市同盟という構図もある。千年前の技術は要するに現実の現代の技術だが、オールドテクとよばれ、この移動都市の時代でも高度というか貴重とされているところがリアルでよかった。そしてもうあまり作られなくなった(作ることが不可能になった?)人造人間の存在がおもしろい。死人をオールドテクの機械でよみがえらせた人造人間は、ロボットよりもどちらかというと人間よりで人間くさい(愛するがゆえの怒りにとらわれている)。主役の男女(トム・ナッツワーシーとヘスター・ショウ)は外見的に美しかったけど、ふたりが生まれ育った背景の描写がやや貧弱で、キャラがあまり印象に残らなかったのが残念だった。アナ・ファンというアジア系の反移動都市同盟のリーダー格の女性に、おいしいところをぜんぶ持っていかれた感がある。全体的にはスター・ウォーズや宮崎駿の世界を織り交ぜたような映画と言えるかもしれない。


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