☆☆☆☆☆☆☆★★★(7点)
この映画がホラーとは知らなかった。後味悪そうなちょっと変わった映画なんだろうくらいの気分で観始めたのだが、いきなり拉致からはじまり、なんか様子がちがう。映画の中ではずっと不穏な空気が流れている。主人公のクリスは黒人で、白人のローズと付き合っている。そんなクリスを実家に誘い、しかもローズは家族にクリスが黒人だと話してない。クリスは不安でいっぱいだが、ローズは両親は差別する人たちじゃないと考えている。むしろオバマに3期目があれば間違いなく投票すると言う。この展開をみていると、実家で差別的な目に遭いそうな予感がひしひしとするが、そういう映画ではなかった。もっとおぞましいというか、差別的には違いないが、僕が知ってるようなアメリカの黒人差別とはまったく違っていた。黒人の身体能力にあこがれる白人たちは、より身体的に魅力のある黒人を選別して人身売買し、脳を移植して体を乗っとるというものだった。病気で不自由になった白人や老齢の白人が、黒人の体を支配して生活を再建しているらしい。ローズの一家は黒人の人身売買で財産を築きあげた家族だった。こういう映画が作られること自体、アメリカの人種差別の根深さが知れる。表向きは黒人に寛容で過剰なほど手厚く迎える人たちが、実は白人至上主義者だったということが、現実にはまだまだ多くありそうだという気がした。