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ヘレディタリー/継承 監督:アリ・アスター

☆☆☆☆☆☆☆☆★★(8点)
まず、雑誌などでもたびたび使われていたトニ・コレットの恐怖に崩れた顔のアップがけっこう怖い。凶悪な顔とか幽霊の顔とかではなく、ただ恐怖しているだけの顔なのだが、尋常じゃないことが起こってるらしいといやでもわかる。この顔だけでも相当な宣伝効果があったんじゃないかと思う。アリ・アスターは1986年生まれの若い監督で、この映画も初めての長編なのだが、ほとばしる才能とか瑞々しさとかよりも、地に足のついた感じのほうが強かった。観客を驚かせて怖がらせるようなこともしないし、奇をてらったようなシーンもない。ひとつの家族が壊れていくさまを、えぐいほどに鮮烈に描いていく。祖母の死から始まるこの家族崩壊の物語には悪魔やカルト教団が関わってくるので、こういう欧米的なオカルトホラーは日本人の僕にはぴんと来ないことが多いのだけど、「ヘレディタリー」はそんな違和感を覚える暇もないほど話に引きこんでくる。まともな登場人物というか、観客が感情移入すべき人物が最後までわからないというところもその一因かもしれない。普通ならアニー(トニ・コレット)がその役を担うところだろうが、彼女は夢遊病者で精神的にも不安定なところがあり、だんだん信頼できない人物にみえてくる。彼女が被害者なのか加害者なのかわからなくなってくるのだ。この映画の後味が悪いのは、もろもろの悲劇が単に悪魔のせいではなく、悪魔を崇拝する人間たちが手を貸したせいでもある点だ。クライマックスの狂騒はあっけにとられるほど恐ろしいが、それよりもアニーの娘チャーリー(ミリー・シャピロ)に起こった悲劇があまりにかわいそうで、なかなか忘れられそうにない。

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